「高機能プラスチック」 | PEアジア


「高機能プラスチック」

1990年代のアメリカ。スーパーで大量の買い物をした時レジで「Plastic or Paper?」と聞かれた。何を言っているのだろうと戸惑ってしまった。「プラスチックの袋に入れるかそれとも紙の袋に入れるか?」と聞いてくれていたのだ。日本ではそのプラスチック袋はビニール袋といっていたので、プラスチックが一般会話で使われる言葉だと思ってもいなかった。

 

大量消費社会の先頭を走っていた米国ではプラスチックがあふれていた。1970年代には米国の辞書に「偽造品」「いんちき」などというプラスチックには不名誉な意味合いまで追加されたという。プラスチックはアメリカ社会でも何か新参者物扱いで、便利な“人造物”プラスチックに少し距離をとって向き合っていたいと思っていたのだろう。

 

しかし、最近、人間の欲望を満たすために合成された物質、プラスチックはその機能ゆえになくてはならない材料に昇格している。他の材料では実現できない機能。距離をとりたくても、代わりの素材を見つけるのは容易ではない例は多い。20世紀に登場したプラスチックが21世紀には新しい機能を提供する時代になってきている。

 

自動車の車体は3割軽くなると燃費が2割向上するという。燃費を重視するエコカーでは、特に車体の軽量化が注目されている。トヨタ自動車が2010年末から生産する高級スポーツ車「レクサスLFA」の小型窓にポリカーボネートが国内市販車で初めて採用される。ガラスに比べ3割軽い。ガラス並みの平面性を実現し、表面処理技術で傷つきやすさを抑えたという。

 

製品に使っている材料だけで環境にやさしいとか悪いとか判断すると間違うこともある。プラスチックでも材料の製造方法、製品化するまでのいくつかの工程を調べて初めて判断が下せる。

金属や木、紙の代わりだけのプラスチックと高機能なプラスチック。いずれもLCAで環境に良いのかチェックしてみないといけないと思う。製品になるまでの工程にも注意したい。環境に負荷を与える物質も判断する必要がある。CO2だけが環境負荷ではない。総合的に見ることができるのはLCAである。

 

象の鼻だけ見て象を判断することがないように。(A